院長の長縄です。
この記事を作成しているのは4月8日ですが、昨日、緊急事態宣言が発令されました。
この記事が新聞となり読まれる頃、コロナウイルス騒ぎはどうなっているのでしょう・・・?
あの時は大変だったな〜と思い出話になるくらいだと良いですが。
皆様は季節性インフルエンザと口腔ケアの関係をご存知でしょうか?
一つ興味深い研究報告があります。有名な研究報告ですので既にご存知の方もいるかもしれませんが、東京歯科大学の奥田克爾名誉教授のグループが報告した研究です。
あるデイケアに通所される190名のお年寄りを、歯科衛生士が1週間に1度口腔ケアを行うグループと、今まで通り自分で口腔ケアをするグループに分け、1シーズンでインフルエンザに罹患する方の人数に差が出るかを比較しました。すると自分で口腔ケアをしていたグループは9名の方がインフルエンザに感染したのに対し、衛生士が口腔ケアをしたグループは1名が感染しただけだったそうです。なんと1/9に減りました。驚きの結果ですよね!?この報告は当時色々なメディアなどに取り上げられ、口腔ケアと感染症が関連していることが注目される様になりました。
しかし、なぜ口腔ケアとインフルエンザの罹患率が関係あるの?と思いませんか?
その理由は、インフルエンザウイルスは口腔や喉の細胞の受容体にくっ付いて細胞内に侵入すると言われています。お口の中には粘液のバリアがあり直接ウイルスが細胞につくのを妨げているのですが、ある歯周病菌の毒素はその粘膜タンパク質を壊してしまうと言われています。その結果、ウイルスが体内に取り込まれて発病すると言う理屈です。
実際に両グループの唾液の中にあるインフルエンザの感染に関与する因子を比較すると大きな差が出たそうです。
残念ながら新型コロナウイルスと歯科の関連データはありませんが、インフルエンザウイルスと同じで口腔ケアが一定の効果があると推測されており、実際日本歯科医学連合会もコロナウイルスに対する口腔ケアの有効性を発表しております。
とは言え、政府は不要不急の外出は控える様にとアナウンスしている今(4/8現在)、なかなか歯科医院で口腔ケアは難しいと思います。できる事というと、いつも以上に丁寧な歯ブラシと歯間清掃と含嗽(イソジンなど酸性の含嗽がコロナには良いそうです)をすることくらいでしょうか。
音楽でも聴きながら、お風呂にゆっくり浸かり免疫力を高めつつ、じっくり歯磨きをしてコロナを撃退・・・なんて言うのも良いかもしれませんね。なんとか、国民皆でこの難局乗り切りましょう。