院長の長縄です。以前行った温泉宿での出来事。ひとり朝風呂を楽しんでいると、
私と同年代の関西人らしき3人組(部長、Aさん(ちょっとぽっちゃりの)、Bさん(若く細身)が楽しく雑談していました。どうやら会社の慰安旅行の様です…
Aさん「昨日は飲み過ぎましたわ。途中から記憶が途切れ途切れで気がついたら布団の中でした」
部長「Aのイビキやっぱり凄かったわ〜。隣の部屋から轟音が聞こえてきた」
Aさん「すいません、ホント昔からなんですわ…家ではCPAP※を使って寝てます」
部長「お前CPAPしてるんや。どうCPAPって?」
Aさん「めちゃくちゃ楽ですよ。もう無いと寝れません。朝、口が乾いてカラカラになりますけど、でも旅先には持って来れない…」
部長「俺は歯医者で作ったマウスピースをしてるよ」
Bさん「部長もですか?実は僕も使っています。でも結構、顎が痛くなりません?」
部長「そうやな最初は痛くなるけど、かかりつけの先生に調整してもらったら良くなったわ…」
私は一人心地よい温泉に浸かりながら、目の前で繰り広げられるイビキ談話に聞き耳を立てていました^^)) ※CPAP: Continuous Positive Airway Pressureの略で経鼻的持続陽圧療法
さて、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は現代病の一つで、眠っている時に無呼吸・低呼吸状態になってしまう疾患です。夜間の睡眠が十分に取れ無いため、日中や仕事中などに強い眠気に襲われ、高血圧や糖尿病、心臓病など様々な成人病を引き起こすことが知られています。
眠っている間に舌が後ろに落ち込んで気道を閉塞させることで起こり、肥満やアレルギー、最近では小顎や舌の筋力低下などが原因として考えられています。過去には新幹線の運転手が運転中に眠ってしまい、あわや大惨事になるところだったというニュースや、高速道路での死傷事故が実は運転手のOSASが原因だったということがメディアに取り上げられ、一般的にも広く認知されるようになりました。
OSASの治療法で代表的なのは(Aさんが使用していた(笑))CPAPです。
装着できれば非常に効果的な治療法ですが、専用の装置が必要であること、一晩中喉咽頭に陽圧がかかるので口渇や違和感が強いなど苦手な方も多いなどマイナス点もあります。
もう一つ代表的な治療法が歯科医院で作製するスリープスプリント(マウスピース)を使用することです(部長とBさんが使用)。夜間に装着して眠るだけなのでCPAPと比べて簡便で経済的です。
一方で下顎を前方で固定させるので顎が痛くなる、口腔内の違和感が強いなどデメリットもあります。かく言う私も、イビキがうるさく良く子供達に疎まれています…。そこで自分のスリープスプリントを作製して時々使っています。
イビキがひどい方や日中の眠気が取れない方は内科や睡眠外来で検査されることをお勧めします。簡易睡眠検査を行い、一定の数値以上に無呼吸や低呼吸が疑われたらCPAPやスリープスプリントの適用となります。スリープスプリントは内科からの紹介状があると当院でも健康保険適用で作製可能です。ちなみに保険料が3割負担の方で大体6000円弱の御負担になります。詳しくは歯科医師にお尋ねください。